2020 年 76 巻 5 号 p. I_65-I_74
水力発電用の取水や洪水調節による流況改変の影響を水系一貫で評価した研究事例は少ないのが現状である.そこで本研究では,宮崎県小丸川流域を対象に分布型流出モデルを適用し,ダム・堰による流況改変程度と,発電放流・支流による流況の緩和の縦断的パターンを評価した.ダム・堰の放流をモデル内に含める・含めないケースでそれぞれ流出計算し,両者の流況指標値の比により流況改変程度を定量化した.流出計算は,3年間を通し高い再現性を示した(NS=0.91~0.96). 発電放流によって豊水流量の改変は緩和される一方,平水~渇水流量における緩和効果は不十分だった.流量の少ない流況ほど,支流からの流入量増加に比例し緩和効果が増加する傾向を示した.これは,緩和効果が空間配置よりも流入量に依存して高まる事実を示唆する.