2020 年 76 巻 6 号 p. II_1-II_7
循環型社会の構築に向け,資源の蓄積・挙動を把握するための世界規模でのマテリアルストック・フロー分析が重要である.統計データの制約問題に対し,全球にて低コストで入手可能な衛星画像データの有効性が示唆される.近年,衛星画像解析の手法として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が注目されている.本研究では,CNNを用いて夜間画像から建物延床面積を推計するモデル開発を行うことを目的とした先行的研究を行った.日本の三大都市圏(東京都市圏,大阪都市圏,名古屋都市圏)を対象範囲として,学習地域と推計地域を交代させ,延床面積を推計した.さらに,推計精度を検証した.大阪学習-名古屋推計では,名古屋都市圏全域の建物延床面積は450 million m2と判明した.