2020 年 76 巻 7 号 p. III_103-III_112
本研究では,2種類の粉末の高分子凝集剤を用い,ポリマー水溶液の保管条件と性状変化との関連性を明らかにした.まず水溶液作成時における溶解時間を決定した後,水溶液中のポリマー濃度や保管温度,保管時間などを変化させ,試料の紫外可視スペクトル,コロイド当量を測定し,性状変化との関係を考察した.
その結果,電気伝導度の変化を利用して溶解時間を決定することができ,これに基づく溶解時間でポリマー水溶液を作成した.保管条件と性状変化との関係をみた実験では,紫外可視スペクトルによって,保管温度が高いほど,ポリマーの加水分解由来の構造変化が進行していることが確認された.コロイド当量値も保管温度が高いほど,時間に伴い減少が顕著になった.これは,加水分解の進行に伴って解離基の電荷が失われたものと考えられた.