2020 年 76 巻 7 号 p. III_383-III_392
硫黄山噴火の影響を受ける河川の汚染実態を把握し,火山噴出物に暴露された河川底泥の環境サンプルから微生物群集遺伝情報の収集・解析を行い,噴火の影響を受けた河川の実態調査を行った.その結果,河川水質は概ね環境基準を満たしていたが,硫黄山火口から約2kmに位置する採水地点(えびの橋)のpHは環境基準値範囲外であった.えびの橋上流とえびの橋の種多様性は最下流の湯田橋(11月)と比較して8.4〜18.6%,系統学的多様性が18.5〜27.5%と著しく低い多様性を示し,えびの橋付近では火山噴出物の影響により特定の微生物群が集積されていることが示唆された.また,噴火以前から直接水稲栽培に利用されていないが,川内川水系の水稲栽培などの営農活動に影響を及ぼした硫黄山噴気孔近くのえびの橋から採水した河川水を用いて,火山噴出物に含まれる成分が水稲栽培に与える影響をポット試験で調査した.その結果,2018年度の玄米中の総As量は試験区2(10倍希釈水)で0.40±0.11mg/kgであり,試料によってはCodex基準値(0.35mg/kg)と同等,それ以上の無機ヒ素を含む可能性があると考えられた.