2020 年 76 巻 7 号 p. III_471-III_479
小規模下水処理場にメタン発酵を導入するために,オキシデーションディッチ汚泥(OD汚泥)と稲わらを混合して高濃度でメタン発酵を行うプロセスを提案し,パイロットプラント実験を行った.投入基質濃度9%(OD汚泥6%+稲わら3%),SRT15日の条件で,アンモニア性窒素(TAN)濃度が2,500mg/L以上に増加したにもかかわらず,安定したメタン発酵が進行した.投入CODベースのメタン転換率およびメタン収率は,それぞれ,0.35および,0.186Nm3/kgVSであり,それぞれのバイオマスのメタン生成ポテンシャルから求めた計算値と一致した.汚泥中には,Clostridia綱の未培養細菌MBA08が36.7-54.8%を占め,古細菌ではアンモニア耐性の高いMethanosarcina thermophilaの近縁種が84-89%と優占化していた.槽内の粘度は固形物濃度の増加に伴い上昇したが,槽内の攪拌状態は良好であった.脱水性の大幅な向上は認められなかったが,脱水汚泥の含水率は,投入汚泥や種汚泥と比較してやや低かった.