2020 年 76 巻 7 号 p. III_503-III_510
堆積物微生物燃料電池(SMFC)が底質に及ぼす影響を明らかとすることを目的として,主に窒素成分に着目してアノードからの距離および底質表層からの深さによる間隙水中の濃度変化の評価を行った.また,底質表層近傍でのNH4+やpH等の変化を明らかにするため微小電極を用いた測定を実施した.SMFCの適用により,間隙水中のNH4+濃度は,アノードから15mmの地点で4割近く,アノードから75mm離れた地点でも1割近く対照系に比べ低下していた.一方で,溶存有機態窒素は(DON)アノードに近いほど増加が観察され有機物分解の促進による影響と考えられた.また微小電極による測定の結果DOの底質への貫入深さ増大が観察され,表層でのNO3-濃度増大に伴う脱窒活性の向上が期待された.