2021 年 77 巻 3 号 p. 103-111
本研究は,自然由来砒素汚染土壌から砒素全含有量が高い微細粒分を除去する浄化法において必要となる基礎的な知見,(a) 自然由来砒素のロードカーブ特性,(b) pHと砒素溶出量の関係,(c) 微細粒分を除去することによる砒素溶出量の低減効果を把握することを目的とした.今回提示したアルカリ・酸を添加する溶出試験方法は,通常では値が小さい溶出量を拡大して観察できる効用があると考えられる.固結シルト等の細粒分主体の汚染土壌であっても,フィードをアンダーフロー(UF,粗粒分)とオーバーフロー(OF,微細粒分)に分級することによって環境基準を満足する浄化土を産出することができた.微細粒分を除去してUFの砒素全含有量を小さくすることは,浄化土となるUFの砒素溶出量の低減に大きく貢献する.