土木学会論文集G(環境)
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和文論文
人口減少による淀川流域の水・物質動態の変化
中谷 祐介鹿島 千尋宮西 杏奈西田 修三
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2021 年 77 巻 3 号 p. 83-102

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抄録

 淀川流域を対象に,人工水循環系における水・物質輸送量の算定方法を構築し,人口減少による将来変化を推計するとともに,流域の水・物質動態と海域への流出負荷に及ぼす影響について解析を行った.その結果,2050年には下水処理場からの放流負荷量は,窒素とリンではそれぞれ25.1%,20.6%と大きく減少する一方,ケイ素では8.9%の減少にとどまり,人工水循環系における動態特性の違いを反映して大きな差異が生じると見積もられた.海域へ流出する窒素,リン,ケイ素の負荷量はそれぞれ14.7%,7.8%,1.5%減少し,今後は負荷削減施策を積極的に推進せずとも,窒素とリンの流出負荷量は大幅に減少する.相対的に窒素が減少,ケイ素が増加することで,大阪湾奥部では一次生産量が低下するが,優占種が珪藻類から変化する可能性は低いと推察された.

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