土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第29巻
物理過程および標高データの違いによる全球河川モデルの感度実験および洪水リスクの変化
山田 利紀藤田 凌田上 雅浩山崎 大平林 由希子
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2021 年 77 巻 5 号 p. I_27-I_32

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抄録

 近年, 気候変動に伴う洪水リスクの将来予測が様々な研究において行われているが, それらには不確実性が存在する. 既往研究では気候モデルやシナリオの違いによる洪水リスクのばらつきが指摘されているが, その他にモデルによる不確実性の評価も必要である. 本研究では河川モデルCaMa-Floodの感度実験を行い, 近年の衛星観測や数値計算法の発展による全球河川氾濫モデルの更新や標高データの改善が世界の洪水予測や全球の洪水リスクの推定にどの程度影響するか調査した. その結果, 衛星観測の誤差に起因する標高データの違いが浸水分布に大きく影響することが判明した. また, モデルの物理過程では, 洪水流が河川高水敷を一時的に流れる過程が最も浸水面積の違いに影響を与え, 多いところでは約5.5%の違いを示した. また, 全球の洪水に暴露される人口は, モデルの物理過程や入力データの違いで最大14%異なることも判明した.

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