2021 年 77 巻 5 号 p. I_51-I_59
近年,気候変動により,各方面で様々な影響が顕在化しつつある.本研究では,全国の多数の河川を対象とし,近年5年から25年間ほどで観測された水温の変化とその最寄りの気象観測点の気温の変化を調べた.生データに対し有限フーリエ級数で表した季節変動成分を抽出した.その後,観測値と季節変動成分の偏差を求め,その偏差に対して傾向の有無,大きさを調べた.その結果,水温と気温変化は相関係数がR=0.37となり,弱い正の相関があった.また長期的な水温変化の傾向成分を推定することに対して,観測頻度と観測期間の影響について,日データを統計的に処理して検討を行なった.その結果,1日毎の水温測定があれば10年弱の観測期間で長期変化傾向をある程度の精度で検出できるのに対して,1ヶ月間隔の観測では数十年以上の観測期間が必要であることが推測された.