土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第29巻
積雪ダム流域の水収支を踏まえた水循環解析と近い将来の流出予測の試み
藤村 和正井芹 慶彦柳川 亜季
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2021 年 77 巻 5 号 p. I_43-I_49

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抄録

 冬期の降水データが不足がちな積雪地域の4つのダム流域において,日単位の降水量と気温データから解析できる山地流域を対象とした水循環モデルについて,年水収支量と流況曲線の形状を確認しつつ降水量と流出量の補正を行い,モデルパラメータをキャリブレーションすることで解析を行った.そして,現実的な将来流出予測のため,GCM気候値にMIROC5の最も昇温が高いRCP8.5排出シナリオを利用し,既に実測値が存在する近い将来(2006年~2020年)の水循環解析を行い,季節単位の流出予測を行った.主な結果は次の通りである.①水循環解析で得たハイドログラフの相対誤差は凡そ30%代前半であり,冬期の降水データが十分に得られない流域において一定の再現性が得られた.②近い将来の流出予測において,実測値を定性的に予測できたのは4流域16季節中,12季節であった.③流出量の予測値が実測値をほぼ表したのは,春期(3月-5月)の流量減少と,秋期(9月-11月)の流量増加であった.

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