2021 年 77 巻 6 号 p. II_43-II_52
水道事業者にとって各家庭で水がどのように使用されているかを詳細に理解することは,水道料金の設定と収益予測,施設整備計画,水運用の日常業務などに取り組む上で重要である.本研究の目的は,アンケート調査データを分析し,生活用水の原単位水量の増加に寄与する要因を把握することである.使用水量によって分類された0-1の2値変数に対するロジスティック回帰分析を実施した結果,以下のような知見が得られた.単身世帯に関しては,在宅時間の長さ,湯張り回数と洗濯回数の多さが、原単位水量の高値群に寄与する要因となることが示された(p < 0.05).一方,四人以上世帯では,洗濯回数の多さに加え,トイレの購入時期の古さが,原単位水量の高値群に寄与する要因となることが示された(p < 0.05).