2021 年 77 巻 7 号 p. III_209-III_220
海水淡水化は,渇水に影響されず安定した水供給が可能な技術であるが,設置・運転管理の費用や技術の要求水準が高く,開発途上国における有効性の評価は定まっていない.そこで本研究は,世界の人口10万人以上の都市について,インターネット上の約75,000サイトから,web scrapingの手法を用いて世界の淡水化施設情報を収集し,データベースを作成した.その結果,稼働中157,計画中27,建設中1都市の合計185都市の情報が得られた.さらに,このデータベースを用いて世界銀行の1,386の国別指標から,海水淡水化施設の設置に適した都市に関わる4つの指標を選定した.これらの指標をもとに,今後,海水淡水化施設の設置可能性の高い開発途上国の都市人口を推計したところ,24ヶ国で約5,400万人と推計された.これらの結果から,本研究で用いたweb scraping手法の有効性が確認された.