2021 年 77 巻 7 号 p. III_241-III_250
三河湾などの富栄養化した海域では,夏期底層水中が無酸素化し,堆積物表層での硫酸還元作用により硫化物が底層水中へ溶出し,青潮等の環境問題につながる.堆積物の環境改善手法として,自然現象であるアイアンカーテン(鉄との反応による硫化物の除去)から着想を得た堆積物への鉄資材添加が考案されているものの,その定量評価には至っていない.そこで本研究では,鉄資材添加による硫化物溶出抑制効果の定量評価を目的に,硫黄循環過程に着目した堆積物モデルを開発し,硫化物溶出実験の再現計算を行った.その結果,三河湾現地コアを用いた溶出試験結果をモデルで再現することが可能となり,現地堆積物への鉄資材添加の効果を定量的に評価することが可能となった.