2021 年 77 巻 7 号 p. III_61-III_69
パイロットスケールの多段型人工湿地に機能性ろ材を用いた区画を設け,砂のみの区画と比較することで機能性ろ材が人工湿地の下水浄化性能に及ぼす効果を検証した.好気処理に適した鉛直流条件では,砂のみの区画でも90.2%のBOD除去率が得られ,ゼオライトを組み合わせた区画では99.9%のNH4+-N除去率が達成できた.多段型人工湿地に水平流を導入して嫌気処理を強化したハイブリッド条件では,すべての区画で全窒素除去率は45%前後となり,ろ材による差異はわずかであった.リン除去率は砂のみの区画において鉛直流条件では21.6%であったが,ハイブリッド条件ではマイナスに転じた.これに対しケイ酸カルシウムを組み合わせた区画では,ハイブリッド条件でも除去性能は低下せず,リン除去率18.2%を維持することができた.