2022 年 78 巻 2 号 p. 71-80
現在,日本の水道事業では新たな水道施設の建設が終わり,既存の水道施設を維持管理する時代へと変化している.本研究では多くの水道事業が小規模で経営基盤が脆弱という問題に着目し,全国の事業体の水源の種別や人口規模ごとの特徴を分析する.日本水道協会の水道統計を用いて,水質と関連する次亜塩素酸ナトリウム,ポリ塩化アルミニウムなどの薬品使用量を分析対象とした.年間取水量小計当たりの給水純利益や技術系職員数,分析対象である薬品が効く水質項目といった選定指標をもとに比較検討を行った.その結果,薬品注入量が過剰である事業体では,一部を除いて給水純利益や技術系職員数が多い傾向にあること,薬品使用量が過剰な事業体では薬品の効率的な運用を行えていない可能性があることなどを明らかにした.