土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
78 巻, 2 号
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和文論文
  • 金子 健司, 石阪 友麻
    2022 年78 巻2 号 p. 42-48
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/20
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     アオサ類が異常増殖して海岸線に堆積するグリーンタイドは,環境に様々な悪影響を引き起こしている.本研究では,瀬戸内海の因島において,ドローンと水中カメラを用いて,2年間にわたりアオサ類の分布の季節および潮汐に伴う変化を調べた.アオサ類の主な分布域は地盤高がD.L. 0m以上の干潟であり,被度は低いがD.L. -2.2m付近まで分布した.干潟におけるアオサ類の分布は潮汐に伴う汀線の移動により変化した.また,アオサ類の分布は季節的にも変化し,被覆面積は3~4月の春季に拡大し,8月中旬頃から減少する明確な季節変化を示した.アオサ類の分布は季節的に変化するだけではなく,潮汐や地形の傾斜などの影響も受けるため,アオサ類の堆積状況を正確に把握するためには,それらを考慮する必要があると考えられた.

  • 山崎 祐二, 古川 靖英, 中島 朋宏, 稲葉 薫, 清水 孝昭, 西垣 誠, 田 小維, 鈴木 市郎, 小林 剛, 井上 大介, 池 道彦
    2022 年78 巻2 号 p. 49-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

     加温がクロロエチレン類の脱塩素化に及ぼす影響を半止水式の土壌カラム試験にて評価したうえで,地下水循環工法を用いたクロロエチレン類汚染地下水の加温原位置バイオレメディエーションを行い,その有効性を評価した.カラム試験では,15℃よりも30℃で早期にDehalococcoides属細菌が増殖し,クロロエチレン類の速やかな完全脱塩素化が確認された.実汚染地では,浄化期間を通して浄化対象地盤を目標温度付近の23℃~30℃に加温制御し,378日後に全てのクロロエチレン類が地下水環境基準未満まで減少した.地下水の汚染除去速度は既往研究の加温を行わない原位置バイオレメディエーションの事例より高い値を示し,クロロエチレン類の地下水汚染の効率的な浄化手法になりうると結論付けられた.

  • 青木 宗之, 佐藤 大誠, 船越 智瑛, 新田 将之
    2022 年78 巻2 号 p. 61-70
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,1)水路式魚道の縦断勾配1/20と1/10との流れと魚類の遊泳行動の比較検討を行うとともに,2)魚類がより遡上しやすい粗度配列の提案および検討すること,を目的として実験を行った.その結果,1/20勾配に比べて1/10勾配での水路式魚道の流速は全体的に2倍ほど速く,後者でのウグイの遡上率は3.3%と困難となったため,流速が速くても魚が遡上できるであろう粗度配列(整列配列および千鳥配列の組み合わせ)を提案したが,ウグイの遡上率は向上しなかった.そこで,塞き上げ効果による水深確保と流速低減によって休息場の形成や流れの多様化を期待し,粗度を群体(粗度群)として用いた,粗度群配置を提案した.その結果,ウグイの遡上率は先のケースに比べて8倍である26.7%まで向上できた.

  • 大石 結愛, 酒井 宏治
    2022 年78 巻2 号 p. 71-80
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル フリー

     現在,日本の水道事業では新たな水道施設の建設が終わり,既存の水道施設を維持管理する時代へと変化している.本研究では多くの水道事業が小規模で経営基盤が脆弱という問題に着目し,全国の事業体の水源の種別や人口規模ごとの特徴を分析する.日本水道協会の水道統計を用いて,水質と関連する次亜塩素酸ナトリウム,ポリ塩化アルミニウムなどの薬品使用量を分析対象とした.年間取水量小計当たりの給水純利益や技術系職員数,分析対象である薬品が効く水質項目といった選定指標をもとに比較検討を行った.その結果,薬品注入量が過剰である事業体では,一部を除いて給水純利益や技術系職員数が多い傾向にあること,薬品使用量が過剰な事業体では薬品の効率的な運用を行えていない可能性があることなどを明らかにした.

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