2022 年 78 巻 5 号 p. I_143-I_150
ブラジルでは,気候変動の影響,都市拡張による郊外斜面地の開発,防災施設の整備の遅れ,ソフト面の防災対策の遅れなどが複合して豪雨による土砂災害が多発している.本稿は,ブラジルの土砂災害の実態と,その防災対策について概観するとともに,ブラジルで実施されている斜面モニタリング手法の傾向を整理し,傾斜センサーによる斜面崩壊検知センサーを含めて斜面災害への適用性について分析・考察したものである.その結果,斜面崩壊検知センサーは,表層崩壊や鉱滓ダム崩壊のモニタリングに概ね適用性があり,住民の的確な避難行動を促す効果が期待できることが分かった.