2022 年 78 巻 5 号 p. I_371-I_377
過去25年間の浸水実績を記録した水害区域図を用いて名古屋市における内水氾濫頻発区域を抽出した.内水氾濫頻発区域を形成時期別に分類した結果,1993~2005年の内水氾濫頻発区域の形成は区域内またはその周辺の水田が宅地化したことに起因し,この土地利用変化は内水氾濫発生の地形的要因として影響していることが明らかとなった.2006~2017年に形成された内水氾濫頻発区域は地形的要因としての土地利用変化の影響が小さく,確率降水量の増加により排水路の流下能力が不足し,今まで内水氾濫が未発生であった地域で内水氾濫が頻発するようになったことが示唆された.また,名古屋市の内水氾濫頻発区域は傾斜がほとんどない土地に形成されているため,溢水の流下方向に関係なく,周辺に構造物が存在するだけで内水氾濫頻発区域が形成されやすいことが示された.