土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第30巻
二酸化炭素直接回収技術を考慮した応用一般均衡モデルの開発および気候変動緩和策の評価
西浦 理藤森 真一郎大城 賢
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2022 年 78 巻 5 号 p. I_417-I_427

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抄録

 温室効果ガス排出削減への関心の高まりと技術進歩に伴い,大気中から二酸化炭素を直接回収する技術(DAC)が注目を集めている.本研究は応用一般均衡モデルにおいてDACをモデル化し,エネルギーシステムや経済への影響を推計した.結果として,世界の気温上昇を1.5度未満に抑える排出削減シナリオにおいて,2050年でのDACによる二酸化炭素回収量は4.9Gt-CO2と推計された.そして,DACの導入はバイオマスの需要を低減させ,食料価格の高騰を抑制する効果を示した.また,DACの導入は排出削減に伴うGDP損失を2050年において21.7%抑制し,等価変分によって計算される損失を4.6%抑制した.本研究の結果からDACはマクロ経済影響を抑制する効果を持つ削減技術として,その選択肢を検討しうると考えられる.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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