2022 年 78 巻 5 号 p. I_87-I_94
本研究では,籾殻ガス化発電の温室効果ガス(GHG)と大気汚染物質の排出削減効果をライフサイクルアセスメントにより定量化した.対象シナリオは,籾殻ガス化発電シナリオ,籾殻ガス化シナリオ,従来型シナリオとした.機能単位は,1kgの玄米と副産物である籾殻から得られる電力,熱とした.分析の結果,籾殻ガス化発電システムや籾殻ガス化システムの導入により,従来型と比べGHG排出量を6~7%削減できる結果となった.籾殻のガス化過程で得られる燻炭を農地施用した場合,GHG排出量を追加的に6.5%削減できる結果となった.加えて,同システムの導入により,大気汚染物質排出量を44~45%削減できることが示された.事業者へのヒアリングの結果,廃棄物の抑制や燻炭の販売による経済的利益が利点となる一方,籾殻貯蔵場所の確保が課題と示された.