2022 年 78 巻 5 号 p. I_79-I_85
今世紀末までに産業革命前からの地球の平均気温上昇を2℃未満に抑える,いわゆる2℃目標を達成する場合,世界の総エネルギー供給量の約20~30%をバイオマスエネルギーで賄う必要があるとされてきた.一方,気候変動緩和対策の一つとして考えられている食肉消費の低減などの食内容の変化は農地や牧草地の利用を変え,バイオエネルギーポテンシャルを変えうる.そこで,本研究では将来の食内容の変化がバイオマスエネルギーポテンシャル量に与える影響を明らかにした.その結果,2050年の現状の延長としての食内容を将来に想定したベースラインシナリオのポテンシャル量は146EJ/年,一方,全世界の食肉消費を制限したシナリオでは261EJ/年のポテンシャル量が得られ, 食内容の変化はバイオマスエネルギーポテンシャル量を大きく増加する可能性が示された.