2022 年 78 巻 6 号 p. II_129-II_140
本研究の目的は,水使用に関するアンケート調査結果と当該世帯の原単位水量データを用い,コロナ禍における生活用水の利用状況に関する変化とその要因を統計的に分析することである.具体的には,2019年度(コロナ禍前)に対する2020年度(コロナ禍)の原単位水量の比(前年比)に着目し,基準より大きい世帯を「高値群」,小さい世帯を「低値群」とした2値変数をアウトカムに設定し,差の検定及びロジスティック回帰分析を実施した.分析の結果,水量前年比の高値群に「洗濯回数変化」及び「夕食調理回数変化」が寄与する要因となることが明らかとなった.また,家族構成員に高齢者(65歳以上)を含む世帯に比べ,それを含まない世帯での水量前年比の増加変化が多く確認された点も特徴的である.