2022 年 78 巻 6 号 p. II_117-II_127
水道は市民生活や社会経済活動に不可欠のライフラインであり,迫る大災害に備え,耐震化だけでなく,被災後の迅速な復旧を可能にした強靭な水道の実現が求められている.本研究では,日々の復旧過程において断水人口や消火機能だけでなく,地域の経済機会損失も評価できる応急復旧戦略評価手法の構築を目的とする.離散的被害推定手法により実管網上で被害箇所の確率論的推定を行った.ある被害シナリオに対する,応急復旧モデルによる復旧日数の算出,管路被害を反映した管網解析,経済機会損失評価モデルを用いた数値解析により,地域の断水人口,消火機能及び経済活動の復旧過程を算出した.その結果,本研究で構築した手法を用いて,市民生活と経済活動を合わせた総合的な観点から応急復旧戦略の検討が可能であることを示した.