2022 年 78 巻 7 号 p. III_459-III_466
本研究では,重曹を微粉化せず真空加熱処理を行うことで,粗重曹からあらかじめ多孔質化した炭酸ナトリウムを製造し,ごみ焼却排ガス中塩化水素および硫黄酸化物の処理に用いる方法を検討した.その結果,粗重曹の真空加熱により多孔質化が進み,微粉重曹を常圧加熱したものより高比表面積を持つ多孔質炭酸ナトリウムが得られた.なお,SEM分析および細孔分析の結果から,真空度の高い低圧のほどメソ孔容積が増え,比表面積も増加することがわかった.製造した多孔質炭酸ナトリウムの酸性ガス除去性能は,比表面積の増加につれ向上することが確認できた.また,排ガス中の水分が多孔質炭酸ナトリウムによる酸性ガス除去率の向上につながることがわかった.