2007 年 63 巻 4 号 p. 286-293
循環型社会という語には,経済社会における物質循環に主眼をおき,廃棄物の適正管理と資源の有効利用の両立をめざす基本理念を示すことに加え,持続可能な発展に向けた長期の社会ビジョンとしての期待も寄せられている.循環型社会形成への取り組みは全般には進みつつあるが,個別分野では,関係主体間でのコスト負担やアジアの近隣諸国の資源需要増の影響など,さまざまな課題に直面している.こうした問題点を改善し,循環型社会の理念と実践との距離を縮めるための調査研究·技術開発上の課題についても展望した.とりわけ土木分野はストックが重要であり,長期的視点に立ってフローをストックとの関係性においてとらえることが必要である.