抄録
地盤振動問題にスクラップタイヤを用いた新たな地中振動遮断壁について検討するために,原形のタイヤを用いた原形型遮断壁とタイヤを圧縮配置した圧縮型遮断壁について,実物大の遮断壁を実フィールドに埋設した.実際の振動源を想定した加振実験を実施して,この遮断壁による振動低減効果を観測した.その結果,原形型遮断壁では3dB~4dB,圧縮型遮断壁では5dB~12dBの効果量を確認した.また,遮断壁による振動低減効果の評価に関して,波動透過理論による評価値にタイヤゴムのバネ効果に関する検討を加えて実測値と比較した.この評価法により実測値をほぼ再現できたことから,提案の遮断壁による振動低減効果は,波動の透過効果とタイヤのバネ効果の2つの効果の相互作用で評価できることが判明した.