2015 年 71 巻 3 号 p. 177-190
石灰・セメント処理した粘性土は,海水環境下においてカルシウム成分の溶出が促進され,力学的に劣化することが示されている.本研究では,石灰処理土を対象に,劣化の進展に伴う間隙径分布の変化ならびに劣化した処理土の圧密特性を調べることを目的として,海水浸漬により劣化した処理土と未浸漬の処理土に対して間隙径分布の測定と圧密試験を実施した.その結果,劣化した石灰処理土は間隙の総量をほぼ一定に保った状態で比較的大きな径の間隙が増加し,石灰混合履歴を持たない母材の粘性土に類似した間隙径分布へ遷移することを示した.また,劣化した処理土の圧縮性は海水浸漬前に比べて大きくなることを示し,その原因は処理土のセメンテーション効果の解消だけでなく,骨格の変化が生じやすい間隙径分布に変化したことも影響していると推定した.