抄録
離島の新しい淡水確保技術として,帯水層の空隙内の塩水を淡水で置換して蓄えるフローティング型地下ダムが考案されている.対象となる環礁島の帯水層は,第四紀のサンゴ礁堆積物から成る幅広いスケールの空隙を有する石灰岩層が主で,淡水貯留時の塩分残留性が懸念事項の一つに挙げられる.本稿では,第四紀のサンゴ礁堆積物から成る石灰岩として琉球石灰岩を用い,マイクロフォーカスX線CTを用いたトレーサー試験を行い,塩淡水置換時の供試体内部の濃度変化を可視化した.その結果,狭隘部の幅が500μm程度の空隙部分が主要な地下水の流動経路として機能していること,基質部分の一部の微小空隙で水の流れが生じていることを明らかにした.同石灰岩を大空隙と基質に分けたモデル化を考える場合,基質部分の流れを考慮する必要性が指摘される.