2017 年 73 巻 2 号 p. 169-185
本究では,崩壊防止ネットと地山補強材の併用による石積み壁の耐震補強方法の補強効果を実物大規模で検証するために,縮尺1/2程度の模型を用いた大型振動台実験を実施した.鉄道構造物等設計標準のL2地震動による加振の結果,静的な釣合い計算により降伏震度を0.4程度として地山補強材長さを設定した条件において,石積み壁の水平変位量,背面地盤の沈下量が限定的であることを確認した.石積み壁,地山補強材,ネットの応答特性から,ネットが積み石の抜け出しを防止するとともに壁面全体を拘束することで,離散的に打設した地山補強材の抵抗力が石積み壁全体に伝達され,高い補強効果が発揮されることが分かった.また,静的安定解析による補強効果評価法に従い実験の検証解析を行った結果,実験結果を安全側に評価できることを確認した.