2018 年 74 巻 1 号 p. 63-75
高レベル放射性廃棄物地層処分の地下施設におけるベントナイト系緩衝材は,地下水の浸入に伴い不飽和から飽和へと遷移する.本研究では,ベントナイトの種類や乾燥密度等の材料仕様の観点から,不飽和から飽和に至る過程の水分移動と膨潤圧挙動との関係について,国内外の粉体状ベントナイト各種を用いて実験的に調査した.その結果,吸水開始から飽和度90%程度の範囲で水分移動は拡散的な挙動と見なせることを示した.また,飽和度90%程度の時点で膨潤圧の発生挙動に変曲点が認められ,膨潤に伴う緩衝材中の構造的な変化に起因して,水分移動の支配的な要因が変化したと考察した.