2020 年 76 巻 1 号 p. 52-66
筆者らはこれまでに,体積含水率の現地計測データに基づく浸透解析モデルのデータ同化を行ってきた.既往の研究では,1次元解析モデルを仮定して,モデル底面の境界条件を自由排水境界とすることで不飽和状態における浸透挙動の再現を試みてきた.しかし,激しい豪雨が降った場合には,自由排水境界では土中の水分状態を解析的に再現できないことが分かった.本研究では,1次元解析モデルにおける底面の境界条件に関するパラメータとして浸透係数βを導入したデータ同化手法を提案し,その妥当性について検証した.その結果,提案手法を用いると,数値実験による擬似的な計測データを高精度に再現できただけでなく,現地斜面において計測されたデータも良好に再現することができ,地下水位の上昇から下降までの挙動も表現できることが明らかになった.