福島県浜通り南部では,一般に重金属等が含まれていることが多い新第三紀層の堆積岩が広く分布している.2010年4月の土壌汚染対策法の改正等により,これら岩石や土壌を掘削して盛土へ利用する際,室内試験等で重金属等が確認された場合には,漏出防止等の適切な対応が求められている.しかしながら,当該地域では,黄鉄鉱の酸化等により重金属等の溶出の可能性がある岩石を用いた道路盛土であっても,深刻な問題に発展した事例は少ない.そこで本研究では,道路盛土構造の覆土や締固めに着目し,新第三紀層の急速に酸性化が進行する砂岩で構築した実大サイズの試験盛土を用いて,概ね4ヶ月間の曝露試験を行った結果から,岩石の酸性化に伴う重金属等の溶出対策として覆土や締固めが有効である可能性を示した.