抄録
都市流域における各戸貯留及び土壌改良による流出抑制効果を調べるため,東京都善福寺川上流部のマンホール集水域を対象とし,流出モデルにより年超過確率1/100の4つの降雨波形を用いて対策前後のマンホール溢水量を計算した.その結果,(1)短時間集中型降雨では流域の広範囲で溢水がみられ溢水量も長時間継続降雨と比して大きいこと,(2)各戸貯留及び土壌改良によるマンホール集水域の流出抑制効果は対策箇所毎に差異が見られるものの,長時間継続降雨では対策効果が高いこと,(3)流出抑制技術の導入は上流及び下流にも一定の効果をもたらし,背水によって溢水が生じている箇所では,上流域の溢水の削減効果も高いこと,(4)溢水量が大きい複数箇所を集中的に対策することで,効果的に下流の溢水を抑制可能であることを明らかにした.