抄録
全球降水観測計画主衛星に搭載された二周波降水レーダ(DPR)は2014年3月から運用されている.DPRの観測から降水強度等を推定する標準アルゴリズム(DPR標準アルゴリズム)は,改良を重ねており,2016年から用いられているバージョン04 (V04)には,降雨のビーム内非一様性(NUBF)補正が導入されている.本研究では,地上レーダのデータからDPRの模擬データを作成し,DPR標準アルゴリズムのNUBF補正に用いるパラメータ(NUBFパラメータ)の推定手法の検証を行った.また,DPRを構成するKaPRの高感度観測モードを利用したNUBFパラメータの新しい推定手法を提案し,その検証も行った.その結果,新しい推定手法の方が精度が良いことが示された.2つの推定手法をそれぞれDPRアルゴリズムに組み込み,降水強度推定値に与える影響を定量的に示した.