抄録
本論文は,東京都の都市中小河川である善福寺川の時間50mmの降雨に対応する河川改修の未完了区間において,溢水の発生頻度や豪雨時に浸水被害を発生し得る降雨規模,河川溢水を生じるまでの時間等の治水安全性について検討を行ったものである.都市域の流出特性を考慮した都市貯留関数モデルを用いた検討の結果,対象地点ではおよそ2年に一度の頻度で溢水が生じていると示唆された.また,豪雨時には60分雨量30mmや30分雨量20mm程度が流域内で浸水被害を生じる雨量の閾値となり,その後極めて早く河川溢水が生じる可能性があることから,予測雨量を利用した避難行動が望まれることを示した.