抄録
台風による豪雨は洪水や土砂災害を引き起こし,社会に甚大な被害をもたらしうる.しかし,台風の経路データは発生位置,途中ルート,消滅位置などからなる多変量なデータであるため,豪雨と台風経路の特徴との関係を把握することは難しい.本研究では,1951-2014年までに北西太平洋で観測された台風をパターン抽出に適した自己組織化マップを用いて20の経路パターン(ノード)に分類し,日本の各地域から選択された10の観測地点を対象にそれぞれの地点での台風のノード別の降水量の割合を計算し,さらに日降水量の上位3事例を抽出して台風のノードや前線といった豪雨の要因を調べた.その結果豪雨の要因として,特定のノードと前線が組み合わさったものや前線のみのものなど,地点ごとに豪雨と台風の経路パターンとの関係が大きく異なることが明らかになった.