抄録
本研究では,土石流発生基準としての実効雨量における半減期の設定に関して検討を行った.検討対象は鹿児島県大隅地方,長野県南木曽町,広島県広島市でそれぞれ発生した土石流災害であり,各災害の雨量指標R'(長期実効雨量と短期実効雨量を組合せた降雨履歴の指標)を計算した.その結果,実効雨量の算定に必要な半減期の設定に地質の違いを考慮することにより,R'の値に約20%の増減が生じた.ただし,火山灰のように長期の半減期が12時間以下の地質ではこの限りではなく,注意を要する.このことから,降雨履歴の指標に地質情報を加味することにより,土石流発生の予測精度の向上が期待される.