抄録
本研究は,2016年3月に北海道ニセコ町で行われた現地スケールでの大規模雪崩実験の概要を示すとともに,MPS法に基づく数値雪崩モデルをこの雪崩実験に適用し,再現性の検証とモデルの改良を試みたものである.人工雪崩実験では開始から停止までの一連の典型的な雪崩挙動が観察され,その様子が貴重な画像データとして記録された.これを数値的に再現すべくMPS法による数値計算の適用を試みたところ,既往のモデルでは雪崩動態を適切に再現できなかった.そこで,雪崩流下中の侵食・堆積モデルを改良するとともに,雪崩底面にビンガム流体の構成則を導入したところ,極めて良好な一致が得られた.