2017 年 73 巻 4 号 p. I_37-I_42
積雪寒冷地においては,融雪水をダムに貯留して夏にかけての水需要をまなかっていること,融雪水は災害の原因となることから,融雪期が始まる前に山間部の積雪分布をできるだけ正確に把握することが重要である.本研究では,同一範囲を対象とした2回(2012年3月及び2015年3月)の航空レーザ測量により計測された積雪分布の類似性に着目し,ダム流域における積雪分布の推定方法を検討した.結果,複数年の積雪分布から共通する基礎的な成分を抽出することにより,毎年の積雪分布を精度良く推定することができる可能性が示された.本手法を応用することにより,ダム流域等の山間部において,簡易にかつ低コストで精度良く積雪分布を推定することができる可能性がある.