抄録
平成24年の九州北部豪雨で被災した山国川流域を対象に,歴史的な石橋群の流木災害リスク,流木被害を受けて撤去される橋梁による流木災害リスクの変動,洪水調整ダムの流木災害リスク低減効果,ならびに砂防ダムの流木災害リスク低減効果などを,矢野ら(2016)により開発された流域全体の流木発生ポテンシャルと橋梁位置での相対的流木災害リスクの評価法を適用して,評価することを試みた.その結果,橋梁撤去により下流の石橋へ流木災害リスクが伝播される状況,貯水ダムにおける流木カット効果が全体の約14%であること,ならびに砂防ダムが流木捕捉率2~3割程度で流域全体の流木災害リスク低減に十分寄与できることなどが明らかとなった.