2017 年 73 巻 4 号 p. I_343-I_348
球磨川の中流域を対象として,流木発生ポテンシャルと橋梁の相対的流木災害リスクの評価を試みた.本研究では,矢野ら(2016)による既存の流木解析の手法の改良として,航空レーザプロファイラ(LP)データを活用して流域内の立木材積などを推定すること,地盤地質情報を加味した斜面崩壊箇所評価により流木発生源を評価すること,などを行った.これにより,球磨川中流域の本川において鉄道橋である球磨川第二橋梁が最も流木災害のリスクが高いことが明らかとなった.さらに,1点/m2と4点/m2の2種類の解像度のLPデータを用いた場合の材積量推定精度の比較を行った.その結果,全国で幅広く整備されている1点/m2のLPデータでも実用上十分な精度で評価可能であることが明らかとなった.これにより,広範囲な流域についても効率的に流木リスク評価を展開できるようになった.