抄録
都市域における接地境界層内の風速場・乱流特性の評価を可能とする測風気球と安価なデジタルカメラを利用した新たな風速測定手法を開発した.本手法は多方向から物体を撮影し,その画像群より3次元座標を算出するコンピュータビジョンの立体認識理論に基づいている.本手法は以下の流れで風速を測定する.(1)地上に上向きに設置した複数台のカメラによるインターバル撮影によってバルーンの軌跡を撮影する.(2)コンピュータビジョンの理論に基づきバルーンの3次元座標を算出する.(3)時々刻々のバルーンの位置座標変化から風速を算出する.本手法の性能を評価するためパイロットバルーン観測値と精度を比較したところ,東西方向の風速において両者の差はおよそ0.6 m s-1であり,本測定手法は既存手法と同程度の精度で風速同定可能であることが分かった.