抄録
平成29年7月に九州北部で発生した豪雨災害において,多量の流木流出に伴って多大な被害を受けた.これを受けて,現在,砂防施設の管理者は既設不透過型砂防堰堤の前庭部(副堰堤等)における流木捕捉工の設置等により,既設堰堤を有効に活用した流木対策の推進が求められている.しかしながら,これらの流木捕捉工の構造や捕捉機構に関してはこれまで充分に議論されていないため,これらに対して更なる技術知見の収集が急務となっている.そこで,流木の流出移動に伴う流木の回転について着眼した基礎的な水理実験により,前庭部における流木捕捉工に関する新たな構造(越流堰)について提案している.なお,実験結果によると,四角の断面形状を保有する越流堰を流木捕捉工と落水部との間に付加的に設置した場合,捕捉工における捕捉効果に対して有効となることが分かった.さらに,実験結果より,流木の回転運動は流速場の変化等に影響を受けることが示唆された.