2018 年 74 巻 4 号 p. I_877-I_882
Artificial Neural Network(ANN)による積雪地域の河川流量予測モデルを奈良俣ダム流域を対象に構築し,ANNのパラメータ設定と入力データの選択について考察した.ANNのパラメータ設定では学習する際の訓練データ数(Batch Size)を小さく,学習反復回数(Number of Epochs)を大きく設定すると予測精度の高いモデルが得られた.入力データの選択では完成したモデルの中で各入力因子が予測精度に及ぼす影響を調べることで,日降水量,最深積雪深,日平均風速, 日平均気温に関する過去6日間分の24個のデータが重要入力因子であることが判明した.重要入力因子のみによる予測精度と,それ以外の因子も加えた入力データによる予測精度は同程度であり,予測の対象とする現象に関連する因子であれば,重要入力因子とは異なる種類と期間のものを入力データに加えても予測精度に悪影響を及ぼさないことが分かった.