抄録
2017年3月に北海道大雪山系旭岳周辺において,航空レーザ測量により,流域界である尾根を挟み風衝斜面及び風背斜面に跨がる範囲の積雪分布を計測し,計測された積雪分布と地形及び植生との関係を分析した.樹林帯においては,標高の増加とともに積雪深が線形に増加すること,樹木や樹冠の密度が大きいほど積雪深が小さいことがわかった.流域スケールにおいては,尾根の遮蔽効果により,風衝斜面と比較して風背斜面における積雪深が小さいことがわかった.森林限界以上の高山帯においては,地表面の地上開度の増加とともに積雪深が線形に減少するが,風背斜面においては,傾斜が大きい箇所に極端に大きい積雪深が見られ,このような箇所を含む場合に積雪深と地上開度の線形回帰式の残差が大きくなった.