抄録
気候変動による豪雨頻度の増加とともに,土砂流入の確率的側面の評価が長期貯水池管理において重要となってきた.本研究では表記流域における崩壊地面積の変化を40年間に得られている9セットの航空写真の解析から求め,短時間豪雨および貯水池土砂堆積との関係を検討した.相対輝度の閾値を設定して各セットの写真に対して崩壊地面積を推定し,Zi=Zi-1·exp(-αΔt)+βRi,という関係を仮定した数値モデルを組み立てた.ここにΔt:時間増分,i:計算ステップ,Z:崩壊地面積,R:閾値以上の雨量,αとβは定数である.計算値と観測値の比較から,3時間 80~90mmという閾値が崩壊地面積の変動をよく説明すること,その計算結果は40年間にわたる貯水池内土砂堆積量の時系列とよい相関を示すことが示された.