2018 年 74 巻 5 号 p. I_1087-I_1092
福岡・大分両県に甚大な被害をもたらした「平成29年7月九州北部豪雨」は,朝倉市北小路公民館で9時間に774mmという驚異的な降雨を記録するなど,狭い範囲を襲った記録的な降雨で,洪水・流木・土砂による三重苦の複合災害という意味で転換点ともいうべき凄まじい豪雨災害であった.本研究では大肥川流域を対象に災害の特徴と被災状況について調査した.その結果,大肥川流域では上流部で洪水・流木・土砂の3重複合災害,中・下流部で洪水・流木の2重複合災害を示していた.このような複合災害に対しては,ある程度の被害は避けられないものとして,組織の壁を超えた連携による既存のインフラの活用など,社会のレジリエンスを高めるための対応策が急務である.