2018 年 74 巻 5 号 p. I_115-I_120
2016年8月北海道豪雨激甚災害では,連続した台風の上陸や観測記録を上回る降雨が発生した.近年,このような気候変動の影響の顕在化が懸念され,気候変動を考慮した治水対策が必要とされている.これまでの治水対策は過去の観測データに基づき整備目標を定めてきたが,将来の気候変動下で発生する事象への対応には,気候予測データの活用が必要不可欠である.本研究では,気候予測データの治水対策への活用に向け,水平解像度の異なる2つの大量アンサンブル気候予測データから年最大流域平均雨量を算出し,実績降雨との累積相対度数の比較により再現性を評価した.気候予測データは実績降雨を高い精度で再現していることを確認した.また,対象流域では将来気候下において年最大流域平均雨量が約1.4倍に増加することを確認した.