2018 年 74 巻 5 号 p. I_121-I_126
近年,我が国においては気候変動の影響と思われる大災害が頻発している.そのため,気候変動の影響を考慮した治水計画の立案は喫緊の課題である.現在の我が国の治水計画は,実績降雨から求めた確率雨量を基に立案されているが,気候変動を考慮した治水計画を立案するためには,気候モデルの出力降雨から確率雨量を算出する必要がある.
本研究では,大量アンサンブル気候予測データであるd4PDFを用いて,各アンサンブルメンバーから得られる確率雨量を実際に起こる可能性があった確率雨量の一つと捉え,取り得る幅を考慮した確率雨量の算定手法を示した.同手法で現在気候および気候変動後の確率雨量を算定した結果,Gumbel分布による将来の確率雨量は十勝川帯広地点で1.33倍,常呂川北見地点で1.33倍,GEV分布による将来の確率雨量は十勝川帯広地点で1.37倍,常呂川北見地点で1.41倍となった.